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言語聴覚士

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「話す」「聞く」「食べる」に関するリハビリのスペシャリスト

言語聴覚士は、1997年に国家資格となった比較的新しいリハビリテーション専門職です。脳卒中や事故の後遺症による障がい、生まれつきの障がいにより、「話す」「聞く(理解する)」「食べる」といった面に不自由さを抱えている人のリハビリテーション(リハビリ)を手助けするのが主な役割。言語聴覚障がいに加え、医学や歯科学、心理学にも精通したリハビリの専門家として、医療施設、高齢者介護・福祉施設、子どもの福祉・療育施設など、さまざまな分野で活躍しています。言語聴覚士として働くためには、まずは国家資格を取得するのが一般的。高校卒業後、大学や専門学校などの言語聴覚士養成施設で3年以上学ぶことで、国家試験の受験資格を得ることができます。合格率は60~70%台で推移しており、作業療法士などほかのリハビリ職種に比べると少し合格率が低くなっています。とはいえ、養成施設の卒業後すぐに受験をする新卒者の合格率は例年80%を超えていることから考えると、養成施設でのカリキュラムをしっかりこなし、卒業年次に受験することが合格への近道と言えるでしょう。

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言語聴覚士になるには

「言語聴覚士」と名乗って働くためには、国家資格である「言語聴覚士資格」が必須。高校卒業後、最短ルートで国家試験を受験する場合は、文部科学大臣が指定する学校(3~4年制の大学・短大)または都道府県知事が指定する言語聴覚士養成所(3~4年制の専修学校)を卒業し、受験資格を取得します。

言語聴覚士になるためのながれ

言語聴覚士に求められる人物は?適性を知る

言語聴覚士は生身の人間を相手に仕事をするので、人間そのものに興味や関心をもてる人、コミュニケーションが好きな人が向いています。
また、リハビリはすぐに結果が出るものではなく、言語聴覚士と患者さんの双方が地道に努力を重ねることで少しずつ変化が出てくるものなので、何ごとにも根気よく取り組めるかどうかも重要です。リハビリは辛く苦しいものであることも多いので、患者さんの中には「こんなことしたくない!」とネガティブになり、周囲に対して心を閉ざしてしまう人も。そんな患者さんの心に寄り添い、相手の気持ちに立った行動・発言ができる思いやりも、言語聴覚士として働くうえでは大切になります。

言語聴覚士の必要な試験と資格は?

「言語聴覚士資格」を取得するには、「言語聴覚士国家試験」を受験・合格する必要があります。試験内容は、5つの選択肢から1つの正答を選ぶ、計200問の筆記試験です。2016年の試験結果を見ると、言語聴覚士国家試験の合格率は67.6%(うち新卒者82.0%)。既卒者が合格率を下げる要因になっているため、養成施設を卒業後すぐに国家試験を受験することが試験を突破する1つのカギかもしれません。各養成校では、最終学年になると国家試験合格に向けた準備や対策が行われています。

言語聴覚士の仕事内容

脳卒中や頭のケガなどにより大脳の「言語領域」が傷ついたことが原因で“うまく話せない”、“話が理解できない”、“文字が読めない”といった症状が出る「言語障がい」、咽頭がんなどで声帯を失い声が出にくくなる「音声障がい」、難聴などの「聴覚障がい」、食べ物や飲み物をうまく飲み込むことができない「嚥下(えんげ)障がい」、「ことばの発達の遅れ」など、言語聴覚士がカバーする障がいはさまざまです。 また、「うまく話せない」といっても、その程度は患者さんによって異なりますし、原因も1つではありません。検査やカウンセリングを通して一人ひとりの障がいの状態や発現メカニズムを正確に把握し、どんな訓練・指導・サポートが必要なのかを見極めてリハビリを行うことが、言語聴覚士に求められる役割になります。「話す」「聞く」といった分野に問題や不安を抱えていると、人とのコミュニケーションに消極的になったり、将来に希望がもてなくなったりと、精神面にも影響を及ぼすことが多々あります。 また、病気やケガなどはっきりした原因がない患者さんの場合、何らかの精神的なダメージによって、「話ができない」などの状態が引き起こされている可能性もあります。そのため、表に現れている障がいだけでなく、患者さんの内面に目を向けることが大事であるということを忘れてはなりません。また、言語・聴覚機能の回復だけでなく、生活やコミュニケーションがしやすくなる実用的な手段をアドバイスできるのも、言語聴覚士の大きな強みです。患者さんが自信と希望を取り戻し、社会生活に復帰する手助けをすること。それこそが言語聴覚士が果たすべき使命なのです。

まずはリハビリを行う患者さんの障がいの状態を正しく把握するため、検査・評価を行います。本人のカウンセリングだけでなくご家族からの情報収集も、患者さんを深く理解するために有効とされています。病院で働く場合は、医師や看護師、理学療法士や作業療法士など、ほかのリハビリスタッフとも意見を交わしながらリハビリ方針を固め、リハビリプログラムを作成します。
また、リハビリ実施後、その日の内容や患者さんの変化を記録することも言語うえで役に立ちますし、ほかの医療スタッフに患者さんの状態を共有する際の大切なツールになります。なお、言語聴覚士が主導するリハビリ内容は、対象となる障がいによってさまざまです。ここでは、障がいを大きく5つに分類したうえで、行われる訓練や指導内容をそれぞれ紹介していきます。

言語聴覚士の気になる?年収・給料・収入

言語聴覚士の給与は、勤務先施設の規模や種類、地域、常勤・非常勤などの働き方によってばらつきがあります。関係者の話や求人情報サイトを参考にすると、平均年収は約350~450万円がボリュームゾーンになっており、月の平均給与は25~30万円程度。理学療法士や作業療法士と比べて平均給与や年収が若干低くなっているのは、言語聴覚士が国家資格に制定されたのは1997年とまだ日が浅く、この職に就いている人は20代~40代がメインになっているという背景があります。
また、言語聴覚士は医療職に分類されますが、看護師のように夜勤や土日勤務が発生することが少なく、夜勤手当や休日手当の底上げがないことも数字に影響を与えています。しかしながら、平日&日中に集中して働くことができ、国家資格を生かして柔軟かつ安定的な働き方ができることは、長く仕事を続けるうえで大きなメリットと言えるでしょう。

言語聴覚士の就職先・活躍できる場所は?

言語聴覚士の仕事は、病気や事故により「話す」「理解する」がうまくできなくなってしまった患者さんの支援、食事がとりづらくなっているお年寄りの支援、ことばの発達が遅れている子どもの支援などさまざま。そのため、働く場所も、医療領域、保健領域、福祉領域、教育領域と多岐にわたります。特に就職先として多いのは病院ですが、病院と言っても、リハビリテーション科・脳外科・耳鼻科・神経内科・小児科・口腔外科など、幅広い科でニーズがあります。
最近では、高齢者や認知症患者さんの増加に伴い、特別養護老人ホームやデイサービスセンターなどで働く言語聴覚士も多くなっています。このように言語聴覚士として活躍できるフィールドは年々広がっていますので、働く場所を選ぶ際には、「誰をどのように支援したいのか」を考える必要があります。

【主な就職先】

  • 障害児関連施設
  • 障害者福祉施設
  • 病院
  • リハビリセンター
  • 発達障がい児支援センター

言語聴覚士のやりがいを聞いてみよう

リハビリを通して、失語症の患者さんが少しずつ話せるようになったり、発達障がいの子どもが周囲とコミュニケーションを取れるようになったりと、自分がリハビリを担当した相手に変化が見られたときに何よりのやりがいを感じるそうです。リハビリの内容は患者さんの状態や性格などによっても変わるため、絶対的な正解というものはありません。また、すぐに変化が見られるということは少なく、時間をかけてじっくり取り組むことになります。そのため、リハビリは試行錯誤の連続で、困難や悩みにぶつかることも多いですが、だからこそ結果が出たときには大きな達成感とよろこびが待っています。

言語聴覚士の志望動機を教えて!

日常生活の中でかかわることはほぼない職種になるぶん、「身近な人が言語聴覚士にお世話になったことがきっかけ」という先輩が多いようです。また、医療系の仕事をしたいと考える中で、たまたま言語聴覚士という職種を知って興味をもったという人、国家資格が生かせる仕事であるため、「安定した働き方がしたい」「長く続けられる仕事がしたい」と志望する人もいます。

言語聴覚士を目指せる学科

言語聴覚士科

※看護学科、言語聴覚士科、臨床工学技士科、介護福祉士学科、社会福祉科(通信)以外は、アイメディカルには設置されておりません。

このページの内容は「スタディサプリ 進路」より引用しています。

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